明るくない言葉

つらい人生の現実にまつわる言葉など

つらい人生の現実がこんなにも明らかであるのに、ほかの人たちはみなどうしてそんなにたやすく自分に嘘をつけるのだろうと

シゾイドの人はよくいぶかしむ。 「パーソナリティ障害の診断と治療」(ナンシー・マックウィリアムズ)

intro

ようこそ地下室へ ようこそ地下室へ

いつだってあなたの足元に入り口があったのにあなたはそれに気付かないまま生きてきたというの?いいえ違う違う気付かなかったのではない、気付かないフリをしていたそうでしょうそうでしょう。見ないふりをしていた。そう、ずっと見ないふりをしていた。でも分かってる大丈夫あなただって何か違和感を感じていた、そうでしょう。

世の中にはキレイできらびやかであたたかく、愛らしくて前向きで幸福の予感に満ちたもので溢れている。限りなく幸福な未来を約束する数々の思想たち。雑誌や書籍、テレビやネットから人々はあなたに囁くでしょう。絆を信じろ前を向け。愛と調和を謳いより良き自分を求めよ。ポジティヴに、笑顔で、しあわせを、目指せと。

魅惑的で胸躍る言葉たち

でもあなたは気付いてる。世の中そう上手くはいかないと気付いてる。そう、世の中の大部分は上手くいっているのかもしれないが、どうやら自分はそこには含まれていないらしいと気付いてる。ルサンチマン?言わせたいやつらには言わせておけばいい。ルサンチマン?違う、それはただの事実だ。どんなに心を前向きにしてもどんなに気が狂わんばかりに祈ってもどんなに善行を積んでも、逃れられないものがある。

地下室へようこそ 地下室へようこそ

そうあなたはもう知っている。あなたの足元に広がる世界を知っている。(暗黒世界は全ての人の足元に!) 自分の足元、そう足元のすぐ下を見れば広がっているホラ深く深く底のみえない闇の世界。多くの人はそれをないものとするでしょう、それについて語ろうとするあなたを煙たがるでしょう。「そんなことないって、きっと良いことがあるよ」そんな甘くて無責任な言葉であなたの苦悩を流すでしょう。なぜなら彼らは見たくないから、なぜなら彼らはあなたの(そして自分の)苦悩を知りたくないから。そうしてあなたはそれを無意識に感じ取っていたからこれまで誰にも語れず足元を見ないようにして過ごしていたのでしょう。

でも大丈夫、分かってる。あなたは本当は見たいのでしょうこの世界を見たいのでしょう。すぐ下に、広がる、深い、闇を。広大な、自分の中の、深遠を。そこを知らないと何かがきっと埋まらない。そこを無視したままではきっと永久に空虚のまま。そう、気付いているのでしょう。でもきっと怖いのでしょう。

大丈夫、大丈夫。怖くわないわ。こっちにおいで。手をとって、わたしの目をみて。ノブを握って扉を開けて。こっちを見てそのまま降りてほら大丈夫怖くないようこそようこようこそようこそ地下室へ