2014-01-01から1年間の記事一覧
羨望とは、対象と同じように自分も良くなろうとするものである。しかしながら、もしもそうすることが不可能だと感じられた場合には、羨望の念を起させる原因であるものとなくしてしまうために、対象の良さを役に立たないだめなものにしてしまおうとする。 H…
すばらしい日々だ 力あふれ すべてを捨てて僕は生きている ユニコーン『すばらしい日々』 すばらしい日々 発売日: 2014/04/01 メディア: MP3 ダウンロード
ひとつの表現を使いますと、精神分析の中でわかったことですが、人は人生のあるときに、偶然、環境的、あるいは身体・生理的必然、無知などから「まずさ」「生きづらさ」を体験しますが、そのときにその扱えなさに圧倒されて無意識に、ときには故意にその場…
自我が不安を解消しようとして行うこころみはたくさんあるが、それらのあらゆるこころみの中でも解体 disintegration はもっとも絶望的で死に物狂いな性質をもったものである。自我は不安に悩むのを避けるために、全力を尽くして、みずからが存在しないよう…
乳児の未成熟な自我は、先天的にそなわった本能の両極性――生の本能 life instinct と死の本能 death instinct ――によってひき起こされる不安に、生まれおちたときからさらされることになる。 H.スィーガル「メラニー・クライン入門」 メラニー・クライン入…
さよなら さよなら! こんなに良いお天気の日に お別れしてゆくのかと思ふとほんとに辛い こんなに良いお天気の日に 中原中也「別離」 中原中也全詩集 (角川ソフィア文庫) 作者:中原 中也 発売日: 2007/10/24 メディア: 文庫
明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。 太宰治「女生徒」 女生徒 (角川文庫) 作者:太宰 治 発売日: 2009/05/22 メディア: 文庫
現実受容 reality-acceptance という課題は決して完成されないし、内なる現実と外なる現実を関係づけるという重荷から、人間は解放されることはない。 ウィニコット「移行対象と移行現象」
穴を掘っている 背中に銃を突きつけられて 穴を掘っている 自分が入る穴を掘っている 全くくだらない一生だったな笑えるぜ 頭に来るぜ なんで僕ばかり この人生をバラバラにしちまう勢いで 穴を掘っている 穴を掘っている 穴を掘っている 穴を掘っている ama…
つまり、自己価値の感覚がおびやかされるために、「劣っている」という意味で、自分を悪いものと感じてしまうのである。こういう体験の激しさは、言うまでもなく、かれ自身の欲求の強さに比例しているが、まさにこの欲求の強さが、自分は悪いものだという感…
また同時に、子供が母親から拒絶されているのに、母親にむかって自分のリビドー欲求を表現するとしたら、言い換えるなら、自分の中に生れ出ようとしている愛情を表現するとしたら、それもまた危険な行為となる。なぜならそのような行為は、自分のリビドーを…
夜のバスは仄暗く、物悲しい。水中のような空気の密度。 夜のバスはほんとうは生き物。わたしを体内に入れてどこか遠くへ運ぶといい。 暗い草原を抜け荒れ果てた地へ。物言う生命のいない場所へ。 夜のバスはコウコウと鳴く。コウコウ、コウコウ。高い鳴き声…
「でもね、世の中にはそんな風な理由もない悪意が山とあるんだよ。あたしにも理解できない、あんたにも理解できない。でもそれは確かに存在しているんだ。取り囲まれてるって言ったっていいかもしれないね。」 村上春樹「1973年のピンボール」
松木 結局、私は年をとるほど生きるのが楽になってきましたね。これは精神分析のおかげだと思っています。 細沢 どういう意味で楽になってきたの? 松木 その「不幸感」というものが、私の日常を支配しなくなったんですね。今でも、何も問題が起こっていない…
このごろの私は、子供みたいに、きれいなところさえ無い。汚れて、恥ずかしいことばかりだ。くるしみがあるの、悩んでいるの、寂しいの、悲しいのって、それはいったい、なんのことだ。はっきり言ったら、死ぬる。 太宰治「女生徒」
John Kenn Mortensen →don kenn gallery Sticky Monsters 作者: John Kenn Mortensen 出版社/メーカー: Square Peg 発売日: 2012/11/01 メディア: ハードカバー 購入: 1人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (1件) を見る
白い雲の下に 雀が飛んでいる オレは百億年を ひとりで飛んでいる 深い雪の中に ハトが死んでいる オレは1日に 二千回死んでいる 高橋新吉「白い雲の下に」
さあ異臭を放ち来るキミの影を喰い 恐怖のパレードが来るキミの名の下に さあ地を埋めつくすほどキミの影が産む 狂気のパレードが来るキミの名の下に 平沢進「パレード」
昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか 村上春樹「風の歌を聴け」(ニーチェの言葉の意訳)
みんながいう おまえには売らない おまえにはやらない おまえなんかいらない おまえなんか 誰も愛さない 安達哲「さくらの唄」
自分ひとりの部屋を見つけ、また、ひとりでいる時間を作ることは必要であり、同時に困難なことでもあるが、それがすべてではない。それよりもさらに問題なのは、活動している最中に、どうすれば魂を静かにできるか、ということである。 アン・モロウ・リンド…
ホラホラ、これが僕の骨だ、生きてゐた時の苦労にみちたあのけがらはしい肉を破つて、しらじらと雨に洗はれヌックと出た、骨の尖(さき) 中原中也「骨」
神様を見た。昔、神様を見た。神様はピンクの色あせたバラだった。 神様を見てしまったのでわたしはこの世界から逃げられなくなってしまった。それがひどく残念。
破壊的羨望は、こころの栄養となる愛情や真実についての知識をもたらしてくれるよい対象やその対象とのつながりの攻撃・破壊というこころのダイナミクスの源泉です。なぜなら、対象の持つよいものが瞬時に自分のものにならないという欲求不満、またよいもの…
得体の知れないものが私達の体の中にある 岡崎京子「リバーズエッジ」
おいでおいで戻ったよと声かければ小鬼たちは地面からずるりずるりと這い出して来るのだ。一人二人と懸命に出てきてはわたしの足や肩や背中にひたりと張りつき愛しそうに頬ずりをする小鬼たち。魚みたいな瞳でにっこりと笑う。
歩き疲れては 夜空と陸との隙間にもぐりこんで 草に埋もれては寝たのです ところかまわず寝たのです 歩き疲れては 草に埋もれて寝たのです 歩き疲れ 寝たのですが 眠れないのです 高田渡『生活の柄』
学生時代までの私は、観念的に自分が正しくとか、自分を人間として磨いていこうという、ある種の高みへの欲求があったんです。ところが、どう観念的であろうと、弱く、うす汚れた、そしてみじめな現実が目のまえにあるわけです。言葉では言いあらわしがたい…
小鬼たちはおかえりとわたしを優しく迎えてくれる。小鬼たちはわたしの血肉が好物。あたたかい闇の感触。
雪は溶けても心は解けない。その解けぬ心を解かしましょう。急に解かしたらわれるといけない。少しずつヴェールをとりましょう。急にとると血うみが出るといけません。少しずつ心のうみを出しましょう。 土居健郎「精神療法と精神分析」