明るくない言葉

つらい人生の現実にまつわる言葉など

つらい人生の現実がこんなにも明らかであるのに、ほかの人たちはみなどうしてそんなにたやすく自分に嘘をつけるのだろうと

シゾイドの人はよくいぶかしむ。 「パーソナリティ障害の診断と治療」(ナンシー・マックウィリアムズ)

残念ながら自立する

「根源的受動性」とは「絶対的価値」がまだ維持されている親子関係の内で、子どもが親の保護をまったく疑うことなく安全を味わえる時の体験です。

人間の欲望の根底にはこの根源的受動性へ回帰したいという願望があります。しかし私たちの成長とは、さまざまな挫折体験のなかで、「私を全面的に引き受けてくれる人はいない」ということに気づき、それを諦め許すという体験を積み重ねるプロセスなんですね。そして仕方なく自分で自分を引き受ける、つまり「残念ながら自立する」のです。

 

親が果たしてくれなかった完全な理解や守りを、恋人や友人に求めて何度も裏切られたり裏切ったりというなかで恨みを重ねます。すると、あっと気づくのです。「私はあなたではなく、あなたは私ではない。人はそれぞれの都合で生きている。私の求めていることを、他者に求めてもそれは無理なんだ」って。

品川博二、赤水誓子「死別から共存への心理学」