明るくない言葉

つらい人生の現実にまつわる言葉など

つらい人生の現実がこんなにも明らかであるのに、ほかの人たちはみなどうしてそんなにたやすく自分に嘘をつけるのだろうと

シゾイドの人はよくいぶかしむ。 「パーソナリティ障害の診断と治療」(ナンシー・マックウィリアムズ)

排除したくなる?

「人と人の関係じゃないんだよきっと。自分と自分以外の人間なんだよ。自分が自分以外の凡てと同じ質量を持っているような錯覚をしているんだろうな、僕なんかの場合は。能く考えてみれば解ることなんだが――要するにそれって自己が肥大してる訳だろう、無限大に。「そうすると他人と云うのは自分以外の一要素に過ぎなくなる。要素なんだから人格やなんかは邪魔臭い。でもそりゃ勘違いだろう。勘違いだと解るとな、たかが一要素の筈が、自分と同じかそれ以上の質量を持っていることに気付く。その時それが重くなるんだ、きっと」

「排除したくなる?」

「面倒になるんじゃないかなあ。解り合ったり通じ合ったりすることは不可能だと、僕のような人間は知っているから」

京極夏彦邪魅の雫