明るくない言葉

つらい人生の現実にまつわる言葉など

つらい人生の現実がこんなにも明らかであるのに、ほかの人たちはみなどうしてそんなにたやすく自分に嘘をつけるのだろうと

シゾイドの人はよくいぶかしむ。 「パーソナリティ障害の診断と治療」(ナンシー・マックウィリアムズ)

ほんとうのさいわい

ジョバンニは、ああ、と深く息しました。

「カムパネルラ、また僕たち2人きりになったねぇ、どこまでもどこまでもいっしょに行こう。僕はもう、あのさそりのようにほんとうにみんなの幸いのためならば僕のからだなんか、百ぺん灼いてもかまわない。」

「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの目にはきれいな涙がうかんでいました。

「けれどもほんとうのさいわいはいったい何だろう」

ジョバンニが言いました。

「僕わからない。」カムパネルラがぼんやり言いました。

宮沢賢治銀河鉄道の夜