2014-05-31 ほんとうのさいわい 引用 ジョバンニは、ああ、と深く息しました。 「カムパネルラ、また僕たち2人きりになったねぇ、どこまでもどこまでもいっしょに行こう。僕はもう、あのさそりのようにほんとうにみんなの幸いのためならば僕のからだなんか、百ぺん灼いてもかまわない。」 「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの目にはきれいな涙がうかんでいました。 「けれどもほんとうのさいわいはいったい何だろう」 ジョバンニが言いました。 「僕わからない。」カムパネルラがぼんやり言いました。 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」